アキ・ユウショウ・ワタナベ(渡邊 裕昭)
Aki Youshow Watanabe
混在主義宣言
混在主義とは1つの作品の中で複数の異なる表現を混在させて成立させた表現形態を言う
21世紀の主流 混在主義 Mix-ism
現代は、人種、思想、文化、あらゆるものが混在する社会形態を成す時代となっている。かつては人種、民族、言語、宗教、思想、文化などは、ある特定の地域に根付いたものであった。しかし、現代は交通網の発達に伴い移動にかかる時間を短縮し、空間も縮めたばかりか、インターネットの普及によりそれらを容易に超越する事になった。その結果、社会はあらゆるものを混在したまま、時にはそれらが互いに激しく衝突する場合もあるが、多くは混在したまま均衡を保っている。
21世紀は混在する時代であり、それを経てやがて一つの方向へと向かう時代でもある。
混在主義はあらゆる表現の混在を意味する。既成の考え方からすれば、一つの作品は一つの表現によって完結しているのが常識だが混在主義では、写実と抽象、三次元的空間表現と二次元的な平面化された表現、記号化、ネガとポジなどの反転、などが一つの作品の中に混在して存在している。
アキ・ユウショウ・ワタナベの作品は、いくつかの変遷とシリーズがあるが、最も重要な根幹は、既成の枠にとらわれない表現、混在する画面構成にある。それは、平面の分野だけではなく、平面と立体、立体と映像などの混在もありうる。
混在主義こそが、21世紀の新しいイズムの形成と言えるであろう。
混在する表現
アキ・ユウショウ・ワタナベは、1975年、吉村益信らの反芸術運動の拠点として出発したアーティストユニオン(AU)を母体として2001年に再出発したニューアーティストユニット(NAU)の中心メンバーである。1990年代後半から、記号化された人物と写実化された植物などが同一画面に全く異なる表現で描かれている作品が特徴的だ。アカデミックでは、本来、この統一性を乱すかのような表現はタブーであったが、幾たびか受賞を重ねるごとに評価を得るようになった。植物をモチーフにした作品では、ネガポジが反転で描かれ、上下左右どちらの方向からでも複数の画面が連続して構成されている。人物表現でも同様に反転手法や写実が同一画面に描かれていることから混在主義と呼ばれている。2000年代は海外展も多く、サンタモニカ、(アメリカ)、ブラジル、バングラディシュなどをめぐった。近年はこうした技法の混在だけにとどまらず、複数の事象を混在させ、現代社会を映すかのごとく多様なテーマの混在に挑んでいる。日本におけるコンテンポラリーアートは活発だが新しい試みは希少だ。その中で、アキ・ユウショウ・ワタナベの挑戦は今後も注目される。国立新美術館で毎年開催される「NAU21世紀美術連立展」でその変遷に触れることができる。 MODERN ART ENERGY 学芸員 馬場崎 仁
略 歴
<コンクール、公募 入選・入賞>
1989 銀座大賞展 (正光画廊・東京・銀座)
1991・96 MBSサムホール美術展
1996 朝日チューリップ展 村田氏賞(審査員賞) KLMオランダ航空賞
このコンペディションより混在主義の原型となる人型のシリーズを発表し始める。
1997 朝日チューリップ展 ハイネケンジャパン賞(朝日アートギャラリー・銀座)
1998 朝日チューリップ展 アートギャラリー賞(朝日アートギャラリー・銀座)
1998 亜細亜現代美術展 (東京都美術館・東京・上野)
伊丹0号大賞展
バレンタイン愛の美術展
1999 NAU21世紀美術連立展プレ展 (東京都美術館・東京・上野)
2000~09 NAU21世紀美術連立展 (東京都美術館・東京・上野)
第3回NAU展より推薦委員を務める
2020.12 全国水墨画公募展 (広島・川尻)
2013~ NAU21世紀美術連立展 (国立新美術館・東京・六本木)
2014~ NAU展副代表
2015~ NAU展代表
<個展・グループ展等 *企画展>
1996 個展 (山椿美術館・東京・高円寺)
1997 *朝日チューリップ展受賞作家展 (朝日アートギャラリー・東京・銀座)
*“97 夏 銀座4-101展 (朝日アートギャラリー・東京・銀座)
1998 TROISCOULEURS (ギャラリーフレスカ・東京・新大久保)
*昼下がりの午後展 (東京大丸デパート)
*テクテク展 (ぱちぱち・埼玉・所沢)
*国際平和美術展 (韓国文化院ギャラリー・東京・南麻布)
*~FAMILY~(個展)(ギャラリーしらみず美術・東京・銀座)
*日韓平和美術交流展 (韓国文化院ギャラリー・東京・南麻布)
1999 *オープニング展 (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
*小品展 (ROSCA・東京・高円寺)
*はな・花・華展 (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
OBRIGADO (個展) (ギャラリーポート・東京・銀座)
2000 LaMar展 (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
*週間絵はがき展 (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
*ドローイング展 (ギャラリー52・東京・飯田橋)
*アジアからの提言 (中和ギャラリー・東京・銀座)
2001 *ドローイング展 (ギャラリー52・東京・飯田橋)
2002 *ユウショウ展 (個展)(アートファクトリー・東京・新橋)
2013 Webサイト上で混在主義を宣言
2015 FLASH! (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
*渡邊裕昭 個展 ~ペン画の世界展~ (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
2016 *渡邊裕昭 個展 ~ペン画の世界~ (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
2017 *混在主義宣言 個展 (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
2018 美魔女展 (ギャラリーLaMer・東京・銀座)
<海外展>
1997 アメリカ サンタモニカ展~JAPAN6~
(BGH Galleryバーガモットステーションアートセンター・サンタモニカ・USA)
1999 Pantanal展 ~文化の夕べ~ ( Jardim ブラジル)
2005 8th Contemporary Young Painters Exhibition from Japan
( Zainulギャラリー・ダッカ・バングラデッシュ)
2018.5 NEW ARTIST UNIT EXHIBITION IN PARIS (Galeria Me’tanoia Paris フランス)
2019.2 THE ENERGY OF JAPAN in Paris (Galeria Me’tanoia Paris フランス)
.4 NEW ARTIST UNIT EXHIBITION IN NY ~NEW ENERGY OF JAPAN~
(Nippon gallery・ニューヨーク・USA)
.4 Festival d'Art sacré de Senlis (Senlis フランス)
.5 THE ENERGY OF JAPAN in Paris (Galeria Me’tanoia Paris フランス)
<プレス *取材、特集記事等>
1996.5 *毎日新聞東京版 (個展取材)
1997.1.23 朝日新聞マリオン(朝日チューリップ展受賞作家展案内)
1998.3 月刊美術4月号 P212(展覧会情報)
1998.7 月刊ギャラリー8月号 P27 (ギャラリーしらみず美術企画展案内)
月刊美術8月号 P196 (展覧会情報)
1998.8 *月刊ギャラリー9月号 P94~95
(Being ART Watching50 記号化で愛を普遍に~ 文・中野 中)
*美術の窓 P105~106 (展覧会を見て)
2002.4 月刊美術5月号 P186 (展覧会情報)
2005.2 *月刊美術3月号 (版画NOW2005 特集記事)
2006.2 *月刊美術3月号 P42 (版画NOW2006 特集記事)
2017.4 *美術の窓5月号 P68 第15回NAU21世紀美術連立展(作品写真)
2018.5 ART&DESIGN P100(フランス美術雑誌)
2019.4 週間NY生活(在米日本人向け新聞)2019.4.6(土) 4面
NYジャピオン(在米日本人向けタブロイド紙)2019.4.12-18 P7
よみタイム(在米日本人向け新聞)2019.4.12 P12
